娘ちゃんの「強度行動障害」の申請が通り、昨年末からの悩みも少しだけ改善した気がします。今回は強度行動障害とはなにか?それが認定されるメリット・デメリットなどをお話しします。
※記事最後にアンケートを掲載しております。個人を特定するような質問は一切ありません。よろしければぜひ協力お願いいたします。
強度行動障害とは
私も福祉関係の仕事をしているわけではないので、絶対に間違っていないとはいいませんが、私が知っている限りのことをお話しようと思います。まず強度行動障害について簡単に説明します。
強度行動障害とは、本人(うちの場合は娘ちゃん)の健康を著しく損ねる行動や、周囲の方に著しい影響を及ぼす行動が、高頻度で継続的に起る状態をあらわします。たとえば娘ちゃんの場合だと、頭をポカポカと殴ったり、壁に頭を打ち付けたりする行動ですね。
他にも、それを止めようとした方に対して引っ掻く、叩く、噛みつくなどの行動を起こしたりするケースがある、いわゆる「自傷行為」と「他害行動」をとるのを強度行動障害といいます。自分も相手もケガをする可能性が大きいので困るのです。
さらに、手を離したらどこかにすっ飛んでいってしまうケースも強度行動障害に含まれます。娘ちゃんは小さい頃は手を放すのが怖かったのですが、最近は一目散に駆け出して止まらないといった行動は少なくなったように感じます。
こんな行動を取ったことはありませんか?
強度行動障害って怖いと感じた方もいるかもしれませんが、実は他にもこんな行動を取る場合も強度行動障害に含まれます。たとえばご飯を食べるときに落ち着いて椅子に座っていられない場合です。娘ちゃんはこれがあります。注意しても怒りだします。
他にも自閉症スペクトラム障害の特性のひとつである、強いこだわりがある場合も同じく強度行動障害と認定されるケースがあるのです。
こうした強度行動障害と思われる行動をとる方に対して認定されるのが強度行動障害認定です。では強度行動障害の認定を受けるとどんなメリットがあるのか、デメリットはないのかについてもお話していきます。
強度行動障害のメリット
強度行動障害の認定されると、デイサービスや施設などで特別な支援を受けられます。娘の場合は公園に行ったときに建物に入れない場合があります。そんなときに一人職員の方が娘についてくれます。これは認定を受けていればその分お金がデイサービスに入るからですね。
だから人を増やすことも可能かもしれません。一人別についていてくれれば他のお子さんへの影響も少なくて済みますし、娘も一人で車やデイサービスに残される心配もありません。これが強度行動障害のメリットです。
強度行動障害のデメリット
今の段階ではデメリットはありませんが、強度行動障害で認定を受けると受給者証に(すべての)「加算強度行動障害」のシールがプラスされたので、学校にその旨伝えたところ「学校では今のところ必要はありません」といわれてしまったくらいでしょうか。
学校では6年生6名に先生5名ついているので、特別に一人増やすといった対応はしていないのかもしれませんし、何より通所受給者証なので学校には関係がないのでしょう。私の勘違いでした。しかしそれ以外のデメリットはないので、今後あったらまた報告します。
強度行動障害が起こる原因
実は強度行動障害が起こる原因というか起因要素があるみたいです。例えばその子の特性も関係しますが、暮らしている環境や伝えたいのに伝わらないなどの、コミュニケーションのミスマッチが原因だとされています。もちろんこれがすべてではありません。
それ以外の原因もあります。つまり発症しないケースもあれば発症するケースもあるといったもののようです。うちはどうだろう?と考えたとき、娘の特性もあるけれど家の環境もよくなかったのかな?と思ったり、コミュニケーションが取れていなかったかな?と思ったりします。
原因となる特性とその理由については以下の表でご覧ください。当てはまる項目が多いほど何かのはずみで起こる可能性がないとは限りません。
特性 | 理由 |
社会性 | 他者への関心の薄さ・他者の意図を察知しにくい・周囲からいわれることや期待されることが理解しにくい |
コミュニケーション | 言葉がでない・すべての言葉の理解が困難・あいまいな表現が理解しにくい・伝えたいけど伝えられない・環境や状況に合わせるのが難しい・人の表情や目線でのコミュニケーションができない・何をすればいいのかわからない・こだわりが強い |
感覚 | 視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の過敏や鈍麻があるため、重力・傾き・スピードの感覚が健常者とは違う。衝動性が加わると突発的な行動を取ったり声を出したり、怒り出す。 |
強度行動障害を起こさないための対策・予防について
娘ちゃんは私が無能だったために強度行動障害を起こしてしまいました。でも最近はリスパダールの処方と環境を整えることで少しずつ収まってきてはいます。でもできれば起こさない方が嬉しいですので、起こさないための対策を紹介します。
①日中活動を安定して送れる場所の利用
これはデイサービスや学校ですね。もしデイサービスを利用していないのであれば利用を検討してみるといいかもしれません。デイサービスでは毎日ちゃんとに予定を立てて子供に合った遊びの提案や、決まった時間のおやつなどを提供してくれます。
また、デイサービスは学校と違い休みの日は朝から預かってくれます。子供としては週1回は自宅で朝から夜までいるとしても、その他の日はデイサービスで活動するのがわかっていれば、安定した行動を取れます。つまり子供にとっても予定が立てやすいわけですね。
②自宅の物理的構造化
これは別に家を増改築しろというわけではなく、自宅の一部に安心してこもれる場所を作ってあげよう!といった感じです。不安になったら安心できる場所に逃げ込める、それだけでも子供は不穏を起こしにくくなります。我が家でも寝室は暗くしておいて娘がくつろげる場所にしています。
なぜか暗い部屋が好きですね。電気をつけてあげるときも一番暗い光にして刺激を少なくしてあげています。小さい頃通っていた通所施設では、部屋は真っ暗にしてポジションライトをつけたり、光ファイバーの川を作ってそこだけ明るいといった工夫をされていました。
③ひとりだけでできる活動の提供
娘ちゃんの悩みのひとつです。娘はとにかく私に構ってもらいたくて仕方ありません。でも私も若くはないので疲れてしまいます。そこで娘が一人で行動を取れるように、一人活動の提案をしてあげます。たとえば娘の場合は動画やDVD鑑賞です。
デイサービスで定期的にいただく写真集をビニールに入れて、一定の置き場を作ってあげると、好みの写真集を暗い部屋に持って行ってじっと見て、時々けらけらと笑ったりして落ち着いてくれます。こうした子供が好む遊びを提供するのもいいみたいです。
④スケジュールを与える
自閉ちゃんの不得意とするのが自分で予定を立てることです。なので今日はこれしようね!何時からここに行くよ!といった予定を立ててあげると過ごしやすいようです。学校もデイもお休みのときには、朝起きた段階で「今日は何時までお片付けして、その後ドライブしようね」と話します。
すると娘はうんうんと聞き、ドライブに行くといった段階で目をキラキラさせて「はい」します。お昼を過ぎたころにリュック(お出かけセット)を持ってきて、「時間よ!」アピールをしてくれます。楽しみにしてくれているのがわかり、非常に私もやりやすいです。
ただし注意しなければならないのは、予定を急に変更する場合です。娘はちゃんとに説明すると、納得できないけど代替え案を受け入れてくれます。しかし予定が変わったらパニックを起こすお子さんもいるようですので、お子さんの特性に合ったスケジュールを決めるのがコツかもしれません。
⑤移動手段の確保
移動手段の確保については、出かけるときには自家用車で行く的な感じでいいと思います。たとえば車で行ったり電車で行ったりといった感じではなく、移動はこれ!と認識できれば不安や衝動性に駆られる心配は少なくなりますよね。
レスパイトケアってご存知ですか?
レスパイトケアなんて聞いたことがない方も多いかもしれません。レスパイトは小休止といったいみを持っている言葉です。実はレスパイトケアが必要なのは自閉ちゃんではなく、保護者やほかの家族の方々です。うちの場合は私ですね。家族の小休止も重要だと思います。
ずっと一緒に暮らしてあげたいと思う気持ちは誰でも同じかもしれません。でもずっと一緒にいるとストレスに感じてしまう可能性だって否定できないですよね。突発的に事件や事故を起こさないとも限らないため、小休止のために1日の何時間か預かってくれる場所が必要なのです。
それがデイサービスです。デイサービスの利用をするにあたっては、ケアマネージャーさんがいるのならその方に相談してみてください。また、万が一保護者に何かあった場合の緊急一時サービスも探しておきましょう。ショートステイの利用がこれにあたります。
ケアマネージャーがいないなら探す
ケアマネージャーがいるといないでは手続きの手間がだいぶ違います。ケアマネージャーを探すなら以下のいずれかの事業所に相談してみてください。ケアマネージャーが決まってからデイサービスや緊急一時サービスを受け入れてくれる事業所を探します。
【相談先】
・相談支援事業所
・特定相談支援事業所
・一般相談支援事業所
・基幹相談支援事業所
【相談支援事業所一覧をチェックする方法】
お住まいの市区町村の役所に相談するのがおすすめです。またはお住まいの市区町村の役所ホームページにある『相談支援事業所一覧』をチェックすれば出てきます。ただし空きがあるかどうかまではわからないケースもあるので、気になったデイサービスに連絡してみてください。
空きがあるのなら手続きをすればいいだけですが、仕事などで時間がない方はケアマネージャーとの契約を先に済ませ、ケアマネージャーさんに手続きなどをお願いしてもらってもいいですね。でも見学や面会は必ず行かなければなりません。